[解説]
 性器ヘルペスウイルス感染症は単純ヘルペスウイルスを病原とする性感染症である。

 女性は性器クラミジア感染症に次いで第二位の感染状況。男性の場合には性器クラミジア感染症、淋菌感染症に次いで第三位。性感染症の中でもとても重大なものといえる。

 女性の場合には外陰部、膣を中心として潰瘍や疱疹を形成する疾患であり、初感染の場合には激しい疼痛を伴う事が多い。

 妊婦が感染した場合子供への影響も有るので注意が必要。

 

 ウイルスは症状がなくなっても神経節に潜伏し、疲労やストレスなどで再発する場合がある。ガンを起こすともいわれている。
 成人では80〜90%が不顕性感染といわれており、成人女子の約70%が30才までにヘルペスウイルス抗体を保有している。
 

[症状]
 赤い水ぶくれができ、不愉快な感じや激しい痛みを感じるときがある。
疲労時など他の病気と合併して発症することが多く、繰り返し発症する場合もある。

急性型
感染機会後3〜7日で発症(感染しても70〜80%は無症状)
全身症状としては発熱、全身倦怠感
局所症状としては外陰部びらん、潰瘍、水疱、激しい疼痛、鼠径リンパ節腫脹、排尿痛、歩行困難、
初感染が大部分。

再発型
急性型を経験した後、症状は軽いがびらん、水疱が外陰部に反復再発するもの。なお急性型の既往がはっきりしない場合も有る。

誘発型
性器ヘルペスの既往のない女性が、抗癌剤やステロイドホルモンの投与、骨盤の放射線照射、妊娠などのために細胞性免疫能を低下させるような状態になった時に性器ヘルペスを発症するもの。

無症候型
稀な病型。自覚症状がないのに、無症候性に子宮頸管に単純ヘルペスウイルスを排出するもの。
 

[治療]
抗ウイルス剤
 現在もっとも利用されている抗ウイルス剤は、ビダラビン(アラセナ-A)とアクシロビル(商品名:ゾビラックス)。両方ともウイルス自体を殺すのではなく、ウイルスの増殖を抑制し、臨床症状の持続期間を短縮させる。
そのために早期診断、早期使用することが大切。
 

 軟膏、内服薬、点滴静注用薬があり臨床症状に応じて使いわける。 副作用は全身倦怠感、頭痛、発熱、発疹や掻痒などの皮膚症状、肝機能障害、腎機能障害、消化器障害、血球成分異常などが上げられる。

対症療法
 病巣部位の疼痛対策、感染防止対策、重症例では入院治療が求められる。
疼痛対策としては、表面麻酔剤ジェリー塗布、鎮痛剤の投与、混合感染の予防には抗生物質の投与を行う。

生活指導
 いったん単純ヘルペスウイルスの感染が成立すると、ウイルスは神経節にとどまり何等かの誘因により再活性化して臨床症状の出現を繰り返す。
 また症状発現時には患者さん自身が性器ヘルペスウイルス感染症の感染源となることを自覚することが重要である。
 

 ウイルス再活性化の原因は、紫外線、疲労、ストレス、また女性は生理との関連性もいわれており、再発を繰り返す症例では誘因を明確にし、生活面で可能な限り意識が必要。
現時点としては、感染の予防策としてはコンドームの使用が有効とされるが、病変部が広範な場合には全く無効。

感染予防
 有痛性の水疱や潰瘍病変が外性器や口唇、乳房などに認められる場合には、感染源となる可能性が極めて高いために、人との接触に配慮が必要である。
 当然、性交やキス、オーラルセックスなどの行為は避けるべきである。
感染能力は極めて高く、直接的接触のみならず、間接的な接触でも感染が成立する場合もある。
 すなわち手指を介して感染、タオルや食器などを介しての感染も成立しえる。つまり患部に触れたものは全て感染源となると考えられる。
しかし、このようなタオルや食器の感染能力は持続性は無く。洗浄・洗濯後は感染能力を失う。
 目などの感染は視力を失う恐れあり。

 

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