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自らが変わらねば 校長 鈴木 幸平 本校にゆかりが深く、稀有の碩学と称された「安岡正篤氏」の考え方やその偉業については、過日、生徒会誌「たちばな」第55号の巻頭言「『百世不朽 正篤題』からの教え」で述べさせてもらった。東洋学に裏打ちされた該博な知識と、その人物としての魅力によって、日本の進むべき道を常に指し示してこられた「師の中の師」のことである。その安岡氏の言葉に「八変」という箴言がある。「自分が変われば相手が変わる。相手が変われば心が変わる。心が変われば言葉が変わる。言葉が変われば態度が変わる。態度が変われば習慣が変わる。習慣が変われば運が変わる。運が変われば人生が変わる。」とある。自らの精神を養い、信ずるところに従って生きようとしても、なかなか理解してくれないことがある。場合によっては反感を抱かれたり、軽蔑されたりすることすらある。そういう周りの抵抗に対して、人物が相当できていないと、情けないほど自主性や自立性がなくなってしまうものだ。「他人と過去」は変えられないけれども「自分とこれから」は変えられる。一人では世の中何も変わらないけれど、その一人が動かねば何も変わらないではないか。まずは、自らが変わることからはじめてはどうかと、安岡正篤氏は提唱されているようだ。 果たして、清高生は、将来何らかの形で指導的立場に立つ素養を備えていると思われるが、嬉しいことに、その清高生の日々の活動の中に、自らの変化を求めようとする兆しが窺える。例えば、冬休み中にもかかわらず、大学受験を控えた3年生が100人以上も学校に登校して最後の粘り(学習合宿)を見せてくれていた。1・2年生についても、正月2・3日に、初蹴り、初投げ、初打ち、寒稽古など部活動に心機一転、真剣に取り組んでいる生徒を非常に多く見かけることができた。 清高生のみならず、清高自体も変わっていこう、変えていこうとしている。よき伝統は大切に継承しながらも、その伝統に安住することなく必要に応じた学習環境を整えたいものだ。来年度から、まずは、ソフト面の学習環境として、現在の一単位授業時間65分を60分にすることとしたい。新しい高等学校学習指導要領が改訂され、その対応措置として週当たりの授業時間数(コマ数)を多くする必要がでてきた。その一方で、部活動など放課後の活動時間が短くなったり、帰宅時刻の延長により家庭学習時間が確保できなくなったりすることがないようにしなければならい。このような工夫をすることによって、教育活動全体が効果的になる日課を組むことが望まれるからだ。なお、土曜講座は継続していくが、平日の授業は短縮されたその分、授業の密度がより濃くなることが期待されることは言うに及ばないであろう。 また、教室の配置についても、現状の課題解決のために改善を図っていきたい。現在の教室は普通科理系の次に、理数科が文系に挟まれた形で、変則的配置となっている。このため、授業コマ数の多い理数科にとっては、6時間目の授業や延長授業を、普通科の放課後に授業を行っており、また、普通科にとっては、教室配置に連続性が保たれていないことから、選択科目授業のカリキュラム編成や生徒の教室移動に際して不都合が生じているという問題が指摘されてきた。ただ、教室配置の検討に当たっては、自然体で安定した授業運営の確保とともに、本校理数科のこれまでの先導的役割等にも配慮をしたいことから、他校とは一線を画し、理数科を学年の筆頭に位置づけ、全体として、理数科、普通科理系、文系の順とする、そのような学習環境の枠組みを整えていきたい。 加えて、すべての授業について言えることだが、各教科担当の先生方の実践研究を踏まえて、授業内容の改善を一層促進していきたい。例えば、国際社会において、英語でプレゼンテーションや交渉ができるハイレベルな英語運用能力と、大学受験科目としての英語力との両方を、相乗効果を保ちながら身に付けさせる授業展開がさらに求められている。今後、全教科にわたる学習指導要領の改訂などを踏まえ、他校に先駆けて、高校3年間を見通した授業計画(シラバスデザイン)の充実を図っていきたいと考えている。 一方、学校の施設設備などハード面についても、長年の課題解決に向けて取り組む必要がある。ご案内のとおり、旧体育館の建立は昭和32年、校舎第1棟(普通教室棟)の竣工が昭和38年であり、半世紀にわたり風雪に耐えてきた。また、校舎第2棟(特別教室棟)も昭和43年に建設され、途中に耐震化工事をしたものの、建物の老朽化が同様に進んでいる。このような状況を踏まえて、一昨年から校舎を全面的に新築するよう、財政関係者の理解と協力を求めてきたが、昨今の厳しい経済情勢ではいかんともしがたい状況であった。 しかし、当局等の一層の理解をもって、校舎や旧体育館などについては、改修、改築を進めていく方向で進みつつある。平成21年度は、トイレの改修工事を済ませ、平成22年度末までには西側廊下と旧体育館の耐震工事が完了する。平成23年度からは、すべての普通教室を改修するとともに、耐震化工事ができない別館は解体する。さらに、手狭になった運動部の部室の新設など順次実施していく予定である。本校生徒や保護者、来訪者の皆さんには、改修工事の期間中ご不便をお掛けして申し訳ないが、生徒が快適に学習できる環境をできうる限り作り上げていく努力は今後も続けていきたい。 多くの人は、自分を変えようとしない。それは、変わろうとすると苦痛を伴うからだ。あるいは、今の自分を一度否定しなければならない場面に遭遇するからだ。だから、8割の人が居心地のいい「今」から抜け出せないでいる。そうではなく、「自らが変わってみよう」、「自らを変えてみよう」との姿勢は常に持ち続けたいものだ。改善や変更に当たっては、もちろん、様々な立場の方の考え方やその思いの深さへの配慮や慎重さも忘れてはならない。が、現状維持という環境の地には進展や発展はありえない。「八変」の箴言の意味を噛み締めながら、清高生が、清高が伝統や現状に安住することなく、自らの考えのもとに自らを変えていき、何事にも果敢に挑戦していくことを願っている。 (平成23年2月 学校通信) |
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