なまこ壁とは、民家・土蔵などの外壁のひとつの様式で、明治時代から昭和初期までは各地で見られました。壁面に四角い平瓦を並べて貼り、継ぎ目には漆喰をかまぼこ型に盛り上げて塗ります。防火、保温、防湿などの効果に優れ、風の強い海辺の地域に適した工法です。その独特の美しさと有効性が、今改めて見直されています。浄泉寺の向かいの道を港側へ入った小さな通りを「なまこ壁通り」と呼んでいます。かつて薬問屋だった近藤家の江戸時代末期の建物外壁が保存され、石畳の道が歴史の足音を響かせているかのような、素朴なたたずまいが魅力です。なまこ壁通りは、伊豆西海岸に位置する松崎町の歴史や文化、そして伝統技能に触れることのできる、時を超えた異次元区間です。
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