円通寺

円通寺の本堂 小栗判官助重公の開基による、愛馬『鬼鹿毛』の寺として、競馬界などで広く知られ、馬事関係者の信仰が厚い。最近では車の安全祈願も増加している。
 本尊は一面二臂の木像(馬頭観音菩薩)ですが、秘仏のため普段は拝むことが出来ない。六十年に一度の御開帳の歳にのみ公開されている。

【主な年中行事】
1月元旦〜3日  三朝大祈祷
1月18日     (小祭)初観音祭
4月17・18日  (大祭)大般若会
8月9日      四万八千縁日
9月18日     (小祭)畜霊施餓鬼会

【由緒】−円通寺のパンフレットより
 判官助重公が、長年愛育してきた愛馬「鬼鹿毛」を伴い西へ向う途中、富士山麓の新芝横山という地先で、鬼鹿毛が命つきて亡くなってしまった。
 助重公は、鬼鹿毛が横山という武将の元で飼育され、また命を終わった処も同じ横山という地であることに、因縁浅からぬものがあると、この地に手厚く葬り堂宇を建てて、助重の母の持念仏を本尊とし、鬼鹿毛頭観世音菩薩と称し、寺号を「鬼鹿毛寺」とした。
 それから当寺は、牛馬の守護仏としての信仰を得るようになり、近年競馬、乗馬界の隆盛と共にその名を知られ、参拝者も多い。又、酪農家の信仰も厚く、近隣地域に寺の名がますます広められている。更に、開基小栗公と照天姫の物語により、縁結びの参詣者も多く訪れている。

小栗判官像【小栗判官】
 足利将軍義教公の時代、父満重は常陸の国の大将であったが、一色氏の「ざん言」より失脚、一家の再興を願って十人の家臣と共に、鎌倉に住んでいた。
 その頃、相模の国の豪族で横山前生という者が居り、そこに天下に名高い荒馬がいて、名を「鬼鹿毛」と呼ばれていた。前生はこの馬を御し得た者には、この馬と共に、養女で絶世の美女と誉れの高い照天姫を娶らせると公言して、乗り手を募集した。
 時に助重公は、馬術に掛けては天下に名だたる腕前で、前生の面前に鬼鹿毛を引き出し、天晴れな馬術を見せた。前生はこれを見て、傍らにあった碁盤を指さし「この碁盤に乗ってみよ」と助重に命じた。
 助重公は日頃信仰する観世音菩薩を心に念じながら、見事な手綱さばきで人馬一体の曲乗りを披露したのである。
 その後、助重は照天姫と夫婦になり、名馬鬼鹿毛と共に数々の戦でめざましい戦果を収め、その功績によって小栗家は再興を許されたのである。

照天姫の像【照天姫】
 照天姫(応永14年〜応仁2年)は常陸守佐竹大善太夫の弟、佐竹佐内の子であったが、左内が一色氏のために攻め滅ぼされた時、一色氏の手下として従っていた横山前生が、まだ幼少の姫をとりこにして育てていた。
 さて、判官と照天姫の祝言が決り、その当日前生の子の三郎が前々から照天姫に恋慕していた為に、判官を亡き者にしようと婚礼の酒に毒を盛り、この酒を口にした判官と十人の家臣は、体がしびれ虫の息になってしまい、前生の手下によって遊行寺近くの墓場に埋められてしまった。絶命寸前の判官は遊行寺の上人の法力により、一命をとり止め息を吹き返した。
 その後、助重は毒のため痺れた体を癒すために、熊野の湯の峰へ土車に乗せられ湯治に旅立った。照天姫がひく情景を通りすがりの人達は涙ながらに見送った。現在も小栗街道と称し、遠州、三河、伊勢路に古道が残っている。
 湯の峰にたどりついた判官助重は、一日七回湯の色が変わる「つぼ湯」で湯治に励み体力を回復した。今もなお湯の峰温泉には小栗判官にまつわる史跡「つぼ湯」、土車を埋めた「車塚」、体の回復を試した「力石」などが残っている。
 助重の死後、照天姫は仏門に帰依し「長生比丘」と名乗り一生を終えた。

小栗判官実記【小栗判官実記】
 享保年間に畠山泰金によって著作された全13巻。この小栗実記を基として、人形浄瑠璃は近松門左衛門作「当流小栗忠孝車」「小栗十二段」など数々の作品が創られ、大いに人気を博した。また説経節としても有名であり、現在もなを話芸の演目として語り伝えられている。

摩尼車(マニ車)【摩尼車】
 当山十世住職が平成5年6月に観音信仰の探求の為に、チベットへ赴き、その際持ち帰ったマニ車、円筒の中にチベット経典が納められている。これを廻すことにより経典の功徳が授かると言われている。

天井絵 大絵馬
内陣彩色格天井
大箕正之画伯の作による。
48枚の秋田杉の一枚板に大和絵の技法による草花が美しく描かれている。
(平成4年春完成)
本堂西側に掲げられている大絵馬
(六尺×四尺)
昭和39年に中央競馬会からの奉納による。
杉の一枚板の木彫に彩色が施された重厚なものである。

※現在の円通寺は創建時と場所が異なっていますが、旧寺屋敷から出土した馬頭石(鬼鹿毛石)や、十数基の五輪塔群などがあります。

旧寺院跡から出土した五輪塔群 旧寺院跡から出土した馬頭石
五輪塔群
宝篋印塔を中央に18基の五輪塔
付近の地中より掘り出されまとめて安置された。
馬頭石
(鬼鹿毛石)
馬の顔そのままの尊い石像。

『円通寺』周辺案内図